ルームエアコンの能力試験(その1)
2024年7月
JATLではエアコンの能力試験を行っていますが、どのように計測していると思いますか?
長さや重さのように、比較的簡単に測定できるものではなく、色々な計測機器で測定した数値から熱量に換算し能力を求めています。少し解説しましょう。
最初に、どのような試験設備で計測しているかをお話します。図は最も一般的なエアコンの能力試験設備の一つの構成図で、正式名称は、「平衡式室形熱量計」と呼ばれています。通称、カロリーメーターとも呼ばれており、その名の通り部屋の形をした大掛かりな熱量計になっています。図中には冷房能力の測定条件を示しています。
室内・室外側それぞれ二つずつの部屋を持つ二重構造で、エアコンを定常運転させた時、乾球温度、湿球温度を能力測定温度条件に合うように設備側の空調機で調節し、そこでバランスした時の熱量(加熱量、加湿量、冷却熱量等)からエアコンの能力を算出しています。
<冷房運転の場合:JIS B 8615‐1規格の条件>
室内側内室:乾球温度27℃/湿球温度19℃(湿度約47%)
室外側内室:乾球温度35℃/湿球温度24℃(湿度約40%)に調節します。
■室内側で何が起きているか?
エアコンは室内側の熱量と水分(これも熱量の一つ)を奪い、温度と湿度を下げるので、設備でその分を補充(調節)します。その補充した分がエアコンの冷房能力になります。
■室外側で何が起きているか?
エアコンは室内側から奪った熱量を室外側へ放熱します。そのままでは温度が上昇しますので、設備でその分を冷却(調節)します。その冷却した分もエアコンの冷房能力となります。
安定時に室内・室外側から求めた熱量は、通常一定の基準内でバランスするので、室内側の結果を代表値としてエアコンの冷房能力(単位:W)が算出されます。